アニメ『銀河英雄伝説』『新釈 眞田十勇士』『鬼神童子ZENKI』などのプロデューサー田原正利(正聖)の制作日記

田原正利のプロデューサー日記

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首藤さんの告別式
今日は首藤さんのご葬儀だったので参列させて頂いた。
以前、塩沢兼人さんのご葬儀の時、埼京線が不通になって電車内に閉じ込められて参列できなかった苦い思い出があるので、今回は昨日から上京し、時間より1時間も早く最寄り駅に着いた。
香典ご辞退ということで、それならば花でも送らせていただいたのだが………。
献花の名札の中に業界関係の各社と並んで「サトシとピカチュウ」「ロケット団」というのがあり、もの悲しいやらおかしいやら………うん、これはこれでふさわしいよね。声優の誰かではなく生み出されたキャラクターこそが悼んでいるにちがいないのだから。

「世界でオンリーワンの才能が逝ってしまった」
「いつかまた一緒に仕事がやれると信じていたのに」
監督の湯山さんの弔辞が胸に迫る。
思いは同じだ。

思えばこの業界に入った時、最初に紹介された社外の人が首藤さんと音響監督の松浦さんで、松浦さんは早くに亡くなられたので、一番長いお付き合いの方が首藤さんだった。もう27年になる。
その時の作品が『街角のメルヘン』で、その次回作として首藤さんがアイデアを出された中に『戦場のメルヘン』と言うのがあった。戦争状況の中で敵と味方が一瞬心を通わせる話で、後に『銀河英雄伝説』を首藤さんにお願いしたのは、そういう下地があったからだ。
もっとも首藤さんの持ち味はそのオリジナリティで、原作ものをお願いすることの難しさはある。そんなことは承知の上で、ガップリ四つに組んだの『わが征くは星の大海』だ。二人で徹夜で台詞の一つ一つまで議論して作り上げたのだが、当時駆け出しのプロデューサーでしかなかった私と、まともに向き合ってやりあってくれたのは首藤さんの包容力であったろうし、何よりどんな作品にも真摯に向き合う姿勢があったからだろう。結果的に『わが征くは星の大海』は原作とも乖離せず、首藤さんの持ち味も活かせた作品となったと思う。その成功が『銀河英雄伝説』本伝のシリーズ化実現に大きく寄与したことは間違いがない。
だが、同じことをシリーズでやり続けていては互いに体力も持たないしスケジュール的に許されない。また首藤さん自身の脚本になら反映できても、他の方の脚本にまで直しとして反映させることはできない。もろもろの理由でシリーズは冒頭のみの関与で降板していただくことになったが、その際にいくつかの宿題を残された。

例を挙げれば、
・グリーンヒル大将がクーデターに関与した動機付けが希薄。リンチに騙されただけなのか?
・『わが征くは星の大海』で重要な位置にあったミュッケンベルガーが、原作ではいつの間にかいなくなっている。
・ラインハルトがヴェスターラントの虐殺を黙認するのはやはり許されないのではないか?
………などなどだ。

それらの答えを、以降の脚本の中で描いたつもりだし、そうした問題提起がなければアニメオリジナルの名シーンと評価して頂いた「グリーンヒル大将の墓参り」も生まれなかっただろう。
首藤さんが私にとって師匠の一人のような人というのは、そういう意味だ。

『銀河英雄伝説』降板後も交流は続き、何か企画の話があると必ずと言っていいほど首藤さんに相談していた。(小田原にも何度も伺い、おいしい地魚の店に連れて行っていただいたりもした)
ただ、やはり首藤さんにはそのオリジナリティを十分に発揮して頂くべきだという思いは強くなった。そうは言ってもオリジナルものの企画が通るのは難しい。そこで考えたのはひとつは古典をオリジナリティあふれる再構築をしたもの。もうひとつは原作はあるのだが、原作は発端部分だけなので、主人公たちのキャラクターさえ押さえれば、その後の展開は自由にできると言うものだ。
首藤さんも、そういう形ならばということで様々なアイデアを出して下さった。それらも残念ながら未発に終わってしまった。とうとう首藤さんに思うままに腕を振るってもらう場を作れなかった。

ブログなど始めて見たものの、現在進行中の仕事と言うのは公表できないことが多くて実際には書けないことのほうが多い。書けるのは「終わった仕事」ばかりだったりする。その意味で首藤さんと一緒にやりましょうと言っていた仕事は「終わった仕事」になってしまった。

残念だ。………今はそれしか言いようがない。

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| 未分類 | 19:52 | トラックバック:0コメント:1
コメント
残念です。本当に残念…大切なものを失うということは、これ程の想いなのだなあ、とまだまだ痛みの続く日々です。

告別式、私も参列させて頂きました。
サトシとピカチュウの名を目にした時、どっと泣けてしまいました。

首藤さんは、私にとって、いつでも光でした。どんな暗闇をも突き抜ける鮮やかな光でした。

今はまだとてもつらいけど…後悔しない様にいきたいと思います。首藤さんにたくさんのお礼を言えなかったから…
2010.11.04 Thu 01:16 | URL | しま
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