『銀河英雄伝説』のロマンアルバムの編集の中でこぼれてしまったネタを書いておこう。
『銀河英雄伝説』のアニメではタバコが出てこない。「どうしてですか?」とか「海外番販を考えていたからでしょう」とか訊かれることもあるが、厳密には違う。
説明するのが面倒くさいから「私が嫌いだから」の答えで済ませることもあるし、それもまんざら嘘ではないのだが、一番大きな理由は「未来予想」だ。
身体に悪く、百害あって一利なしと言われ、さまざまな喫煙規制が進んでいる中、いずれタバコは全面規制されて消えていくものだと思っているからで、今から1600年も先の未来(?)に喫煙の習慣が残っているとは思えなかったから、というのが「正解」だ。
もちろん海外に限らず、子供も見る可能性がある「アニメ」では喫煙習慣を助長するような表現は避けるべきだというのも根底にある。日本のアニメはその辺がゆるいのは確かで、その昔大NHKで「未来少年コナン」の作中でジムシーがタバコをふかすシーンがあり、後で問題になって再放送でカットされるという「事件」があったが、まぁこれなど意識の低さがなせるわざ、という奴だろう。そういうことも踏まえて、作中ではタバコは出さないことに決めた。幸い原作でもタバコを吸うシーンはなかったし。
初期の脚本家には不評で、芝居のアクセントが付けにくいから小道具として使わせろとも言われたが、その安易さが嫌だったので断固却下した。
同じように作中で殆ど出てこないのが眼鏡だ。丁度アニメを始める頃に電磁波を利用した近視治療の可能性に関するニュースがあり、いずれ近視や老眼などの「治療」は技術的に可能になるだろうという「未来予想」をした。だからそういう矯正用の眼鏡をかけたキャラクターは出さないようにした。
これもキャラのバリエーションが付けにくいとデザイナーには不評だったし、「メガネ萌え」の人には不満かもしれないが、「世界観」に関わることなので泣いてもらった。
例外はファッションや防眩用のサングラスなど。例えばエーレンベルクの片眼鏡(モノクル)は原作にあったので尊重し、10話(だったと思うが)の「怪しい奴ら」は「記号」としてサングラスをかけている。
逆に原作ではヤンがサングラスを愛用しているがアニメでは使わなかった。サングラス=黒眼鏡は、もともと中国の皇帝が臣下に表情を読ませないために着用したという。(ラストエンペラーの溥儀で有名)ヤンのサングラスはその故事に倣ったものだろうが、最初のキャラクターデザインの時にレイヴァン風のをかけた絵が上がって来たのだが、スタッフ一同「似合わネぇ!」で一致し、かけさせるのを止めてしまった。溥儀の様な小さめの丸いサングラスだったらどうだっただろうかとも考えるが、どうもあれは「ボサボサの長めの髪」には似合わないような気がする。まぁアニメでは「なし」で何とかなったのだから良しということにしてもらおう。他には特に原作で眼鏡をかけているという記述がある人物もいなかったし。
ただ、後から気付いたのだが、ケスラーは両耳の上だけ白髪があるという設定だ。これは考えてみると眼鏡の蔓が常時当たっていることで血行などに影響を与えて出る「症状」ではないのか? そうするとケスラーは実は眼鏡キャラ? ま、これは後から「ひょっとして?」と思ったことなので、気付かなかったことにしよう(って、ここで書いたらダメじゃん)。
結局ロマンアルバムは「コンプリートガイド」といいつつ、編集方針そのものは『銀河英雄伝説』の表面をなぞっただけのものになってしまったので、より突っ込んだネタは没してしまったままだ。ウィキペディアやmixiなどで知ったかぶりをする素人の「推測」「創作」「思い込み」「誤解」に基づく書き込みが氾濫して、いい加減な話が「定説化」するのも腹立たしい。そんな訳で、暇を見てこういうところに書き付けておくこともいいだろう、ということだ。正式な出版物では書けないこともあるし。
何か訊いて置きたいことがあれば、コメント下さい。答えられる範囲のことはなるべく答えるようにしますし。
今年は少しまじめにブログをやろうと。
『銀河英雄伝説』のアニメではタバコが出てこない。「どうしてですか?」とか「海外番販を考えていたからでしょう」とか訊かれることもあるが、厳密には違う。
説明するのが面倒くさいから「私が嫌いだから」の答えで済ませることもあるし、それもまんざら嘘ではないのだが、一番大きな理由は「未来予想」だ。
身体に悪く、百害あって一利なしと言われ、さまざまな喫煙規制が進んでいる中、いずれタバコは全面規制されて消えていくものだと思っているからで、今から1600年も先の未来(?)に喫煙の習慣が残っているとは思えなかったから、というのが「正解」だ。
もちろん海外に限らず、子供も見る可能性がある「アニメ」では喫煙習慣を助長するような表現は避けるべきだというのも根底にある。日本のアニメはその辺がゆるいのは確かで、その昔大NHKで「未来少年コナン」の作中でジムシーがタバコをふかすシーンがあり、後で問題になって再放送でカットされるという「事件」があったが、まぁこれなど意識の低さがなせるわざ、という奴だろう。そういうことも踏まえて、作中ではタバコは出さないことに決めた。幸い原作でもタバコを吸うシーンはなかったし。
初期の脚本家には不評で、芝居のアクセントが付けにくいから小道具として使わせろとも言われたが、その安易さが嫌だったので断固却下した。
同じように作中で殆ど出てこないのが眼鏡だ。丁度アニメを始める頃に電磁波を利用した近視治療の可能性に関するニュースがあり、いずれ近視や老眼などの「治療」は技術的に可能になるだろうという「未来予想」をした。だからそういう矯正用の眼鏡をかけたキャラクターは出さないようにした。
これもキャラのバリエーションが付けにくいとデザイナーには不評だったし、「メガネ萌え」の人には不満かもしれないが、「世界観」に関わることなので泣いてもらった。
例外はファッションや防眩用のサングラスなど。例えばエーレンベルクの片眼鏡(モノクル)は原作にあったので尊重し、10話(だったと思うが)の「怪しい奴ら」は「記号」としてサングラスをかけている。
逆に原作ではヤンがサングラスを愛用しているがアニメでは使わなかった。サングラス=黒眼鏡は、もともと中国の皇帝が臣下に表情を読ませないために着用したという。(ラストエンペラーの溥儀で有名)ヤンのサングラスはその故事に倣ったものだろうが、最初のキャラクターデザインの時にレイヴァン風のをかけた絵が上がって来たのだが、スタッフ一同「似合わネぇ!」で一致し、かけさせるのを止めてしまった。溥儀の様な小さめの丸いサングラスだったらどうだっただろうかとも考えるが、どうもあれは「ボサボサの長めの髪」には似合わないような気がする。まぁアニメでは「なし」で何とかなったのだから良しということにしてもらおう。他には特に原作で眼鏡をかけているという記述がある人物もいなかったし。
ただ、後から気付いたのだが、ケスラーは両耳の上だけ白髪があるという設定だ。これは考えてみると眼鏡の蔓が常時当たっていることで血行などに影響を与えて出る「症状」ではないのか? そうするとケスラーは実は眼鏡キャラ? ま、これは後から「ひょっとして?」と思ったことなので、気付かなかったことにしよう(って、ここで書いたらダメじゃん)。
結局ロマンアルバムは「コンプリートガイド」といいつつ、編集方針そのものは『銀河英雄伝説』の表面をなぞっただけのものになってしまったので、より突っ込んだネタは没してしまったままだ。ウィキペディアやmixiなどで知ったかぶりをする素人の「推測」「創作」「思い込み」「誤解」に基づく書き込みが氾濫して、いい加減な話が「定説化」するのも腹立たしい。そんな訳で、暇を見てこういうところに書き付けておくこともいいだろう、ということだ。正式な出版物では書けないこともあるし。
何か訊いて置きたいことがあれば、コメント下さい。答えられる範囲のことはなるべく答えるようにしますし。
今年は少しまじめにブログをやろうと。
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