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アニメ『銀河英雄伝説』『新釈 眞田十勇士』『鬼神童子ZENKI』などのプロデューサー田原正利(正聖)の制作日記
田原正利のプロデューサー日記 | スポンサー広告 | --:-- |
今日が情報解禁ということで、ようやく1件に関しては書けるようになった。
アニメ『銀河英雄伝説』のブルーレイ化が決定。年末にBOX1が発売される。 今日、丁度そのBOX1のマスタリング作業が終了。 ま、正直ブルーレイに関してはいろいろ思うところもあるのだが、世の中の流れとしてこの際やっておくか、ということで。 DVDを購入した人は「何だよ」と思われるかもしれないが、それについてはおいおい書いていこうかと思っているので、今日のところは「出ます」ということだけ。 今年はブログを真面目にやろうと考えていたが、結局仕事関係の話って、正式発表がされるまで触れられないことが多くて活動報告ができない。
しかも本当のことを書くと関係者からクレームが来たりして中々やりにくい。自分たちの不始末を批判され、それを改善するとか姿勢を正すとかそういう方向に発想が行かない。「余計なことは言うな」的な口封じをすることしか考えない。そういう世界。 もう少し世間話的な当たり障りの無いことを書いていればいいのだろうが、それもつまらないし、やっている意味も無い。 まぁ、どうしたものか。 『銀河英雄伝説』の公式携帯サイトがOPENして、そっちの「監修」もやっているので、時々「相談」を持ち込まれる。例えばクイズの答えが違うのではないかとユーザーから指摘を受けたとか、だ。
正直、事実関係に間違いが無いかとか、用語が合っているかとかは確認しているが、回答の選択肢や正解がどれかなどはクイズの作成者に任せている。持ち込まれるのは「原作にこう書いてあるが」とかが多い。もともと原作とアニメとは設定が違う点とかもあり、今回は内容をアニメに限定してやるはずだったのに、原作などに拠ったクイズがあったりして、そういうことは訊かれても守備範囲外だって。 今日、更にストーリィ紹介の間違いをユーザーから指摘されたと言ってきて、ストーリィ紹介は徳間書店がやっている「公式ホームページ」の記事によるものだが………とのこと。だが、その「公式ホームページ」なるものには当方は全くタッチしていないからこれは責任が持てない。今回のロマンアルバムの「杜撰」さを鑑みるに、おそらく他にも間違いやらは多いのではないかと思われるが。 そう思ってちょっと覗いてみたら、まず不思議なのは書籍の紹介に原作小説が掲載されていない。原作は徳間書店から創元文庫に移ったし、このサイトは徳間書店の宣伝活動でやっているのだから他社の商品を載せる謂れは無い、ということなのだろうか。 しかしアニメしか知らない人が初めてこの「公式」サイトを見たら、原作は道原さんのコミック版だと思うか、或いはアニメがオリジナルでコミカライズされたと思うかだろう。かろうじて「バックステージ」のページで原作が小説であることは書かれているが、出版物紹介に載っていないと言うことは絶版になっていると思われてもしょうがない。 これがその作品の「公式ホームページ」の姿勢だろうか? あくまで徳間書店の『銀河英雄伝説』のホームページであって、商業的な意味合いで自社の宣伝しかしませんというなら、作品にとってのオフィシャルなホームページであるかのように標榜するのはやめて欲しい。まして内容にミスがあれば、当然今回のようにトラブルの元になる。 ………と言うわけで、「公式」ホームページの記事も信用できない、ということだ。じゃあ何を信用したらいいんだ、と言われるかも知れないが、所詮インターネットなんてそんなものだ。誰でも発信できるから、そこに溢れている情報は玉石混交、人の噂話レベルのものに過ぎない、ということ。それは肝に銘じたほうがいい。 まぁ普通は「公式ホームページ」というのはもっと責任のある人が、内容を精査して公表してもいいかどうかを判断して公開するものだから、もう少し信用度が高いものだけど。 先日書いた「ケスラーが実はメガネキャラだったのではないか」という件、それ以外にも後から気付いたことがあって「ちょっとデザイン的に違ったかな」と思ったキャラも何体かはある。
代表的なのはルビンスキー。スキンヘッドからテリー・サバラス(刑事コジャック)のイメージでデザインしてしまった。(これは明確にモデルを指定したのか覚えが無いが、キャラの打ち合わせをしている時に「流れ」でそうなったような気がする) だが、後になって「黒狐」の異名や、「目も鼻も口も全ての造作が大きい」との記述を読み返して、どちらかというとユル・ブリンナーみたいな感じでもっとシャープな感じにした方が良かったかと思った。 実際、作中では確かに好かれるような役どころではないが、3勢力のトップでもあり、描き方ではもっと人気が出たキャラではないかと思うのだ。 以前イベントで初期のウィークリービデオを並べて展示したことがあった。あれは各巻一人ずつのキャラが立ちポーズをとっているパッケージだったが、15巻がルビンスキー(これは両陣営が入り乱れる会戦話だったので、敢えて第3者のルビンスキーにしたのだが)だった。 すると女性ファンの一団がキャアキャア言いながら見ていて、15巻を指差し、「私これいらなぁい!」とのたもうたものだ。作品的には15話は最高の出来だと思っていただけに、「中身じゃなくパッケージで選ぶのかよ!」とも思ったが、それだけパッケージの重要さとルビンスキーの不人気さを思い知った出来事だった。そんなこともあって、ルビンスキーはもうちょっと「いい男」にしても良かったかなと思った次第。 もうひとりは逆に若くハンサムにし過ぎたかと思うのはマリノだ。このキャラは明確なイメージが湧かず、総監督の石黒さんに相談したところ「もう一人ぐらい黒人系のキャラがいてもいいんじゃないか」ということで「じゃあその方向で」なった。だが、何か特徴が掴めないままでいた。 後にフィッシャー亡き後の艦隊運用を任されるようになったことを考えると、もっと中年のベテランぽいキャラの方が良かったのではないかと思うようになった。名前も「マリノ」と言えば「サン・マリノ共和国」があるくらいだからイタリア系? ………で、後から湧いたイメージはスーパー・マリオみたいな感じのちょっと太ったおっさんキャラ。その方がヤン艦隊の中でもキャラが立ったのではないか? まぁそんなことも含めて、ああすれば良かったとか、本当はこういうことをやりたかったんだけど予算や技術や時間の問題でできなかった、そういう「残念」はいろいろあるのも確かだ。特に初期の話数は、流石に20年も前の作品なので、ちょっと見返すのに小恥ずかしいものがある。 劇場版「新たなる戦いの序曲」を作ったのは、その辺の初期話数への不満の解消と言う側面もある。 劇場版の続きのシリーズ化構想もあったんだが、今となってはキャストが再現できないので製作不可能だ。まぁ「新たなる戦いの序曲」は本編の4話ぐらいまでを描いており、本編も5話以降は実質的に河中志摩夫が書いているから、その意味での「リメイク」は「序曲」で十分と言うことか。言い出せばキリがないしね。 『銀河英雄伝説』のロマンアルバム、泥沼の校正が続く。
キャラクター紹介のページ、よせばいいのにキャラクター名の下に小さく欧文スペルが入っている。それが間違いの元で、全くの別人のスペルが入っていたりする。小さいので向こうでも見逃しているのだろうが、明らかに「長さ」が違っていて、(例えばアンスバッハの下に何やらフルネームらしい長いスペルが入っているとか)パッと見ただけでも妙だなと思うものだが、それさえ気付かず、これが多発していたりする。 よせばいいのにというのは、そういう見逃しをする元をわざわざ作っているということと、ムックとしての編集上の明確な意図が感じられないでやっていることだ。何か欧文スペルが入っていた方がカッコがいいというデザイン的な意味合いしか持たせていない。入っていることにそもそも意味が感じられない。だから見落としもする。 欧文スペルを入れるのは作中のテロップで始めた事じゃないか、と言われそうだが、あれには一応意味がある。 当初『銀河英雄伝説』の映像化の際に悩んだのが、原作小説で漢字表記にカタカナのルビを振ってある言葉をどうするかだった。例えば「黒色槍騎兵艦隊」と書いて「シュワルツランツェンレイター」と読ませる、という類だ。 漢字表現での「意味」や「字義」「文学的格調」も大事だし、欧文表現の「語感」や「かっこよさ」も捨てがたい。台詞ではどちらかに統一せざるを得ないが、両方を生かす方法が無いか? ………そこでテロップを使うことにしたわけだ。しかし「黒色槍騎兵艦隊(シュワルツランツェンレイター)」というテロップはいかにも説明臭くてダサイい。それで更に考えたのが洋画の英文テロップに日本語の翻訳テロップが添付される形があるが、それを真似ようと言うことだった。『銀河英雄伝説』のアニメ化の際、基本の演出方針として「アニメアニメした演出を極力排除し」「洋画の実写映画のような映像作りを心がける」と言うのがあったので、それにも合致した。 つまり『銀河英雄伝説』の作中テロップは「もともと欧文で出ているところに日本語訳を付けました」というスタイルなのだ。 そもそも『わが征くは星の大海』でメインタイトルを欧文にして、『銀河英雄伝説』という日本語タイトルを遅らせて隅に小さく出しているのも「洋画の翻訳もの」っぽくしようという意図によるもので、その延長線上にあると言える。 言わば単なる説明ではなく「映像表現」の1ツールであり、演出の一部でもある。だから慣れて来ると絵コンテ段階でテロップが入ることを計算したカット割(レイアウトと秒数)にしている話数もある。 『銀河英雄伝説』が始まった頃は、テロップを演出として積極的に入れる手法は他では殆ど取られていない。何故なら当時はまだTV放送がフィルム納品で、テロップを入れるためにはフィルムに焼きこむ必要があり、手間と費用がかかるからだ。『銀河英雄伝説』は最初からビデオ納品だったので、それができた訳である。その後、バラエティなどでテロップを多用する手法が流行になったこともあって、アニメでも登場人物の名前などをご丁寧に毎回のように無理やり出している作品などもあるが、そういうのとは意図が違うのだと明言しておきたい。 『銀河英雄伝説』は登場人物も多いし場面も良く変わる。テロップはもちろんそれらを補足する意味で出しているが、多いだけに必要以上には出さないことも配慮しているつもりだ。例えば原則として同じキャラには3回までしか出さない(かなり間の空いた登場などは例外だが)とか、だ。レギュラーキャラクターまで毎回毎回テロップを出す某作品などは親切に見えて視聴者を馬鹿にしているとしか思えないが、そういうのと一緒にして欲しくは無いものだ。 それでもテロップが邪魔だと言う意見もあったので、DVD化の際には全てのテロップをデータ化し、テロップ無しでも見られるようにもしている。だがデフォルトはテロップありに設定されているように、テロップも演出の一部と思ってみていただきたい。 実はDVD化の際にテロップのスペルは全てチェックし直した。 お恥ずかしい話だが、DVDのリニューアル版になる前のものは間違いが多い。言い訳になるが実情を公表しておく。 1期のテロップ作りの際に、丁度社内の別セクションの某外国語大学出身の女子社員から、同じ大学の後輩の学生が翻訳などのアルバイトを探しているが何か無いかと言ってきた。本編製作で忙しいこちらとしては渡りに舟、と『銀河英雄伝説』の地名・人名のリストを渡し、大学の図書館などで「調べて」もらうことにした。外国語大学なら外国の人名の事典とか資料も揃っているだろうと期待した訳だ。 で、上がってきたリストを元にテロップを作成した。 ところが後になって基本的な大きな間違いが多いことに気付く。どうやら資料を調べるのではなく、日本語の語感からテキトウにスペルをでっち上げていたらしい。(全部が全部ではないようで、フランス語やロシア語の系統は良く調べているのに、肝心のドイツ語がテキトウだったりした) 気付いた時にはビデオは発売後で、取り返しがつかない。後の祭りと言う奴だ。 まぁ外国語大だし会社の人間の後輩だしと言って信用し、学生アルバイトに任せてしまったこちらの責任ではある。 もっとも『銀河英雄伝説』では帝国と同盟の「公用語」というのが出て来るが、それが英語やドイツ語だとは一言も言っていない。だからドイツ語のスペルと違っても「それは帝国公用語ですからドイツ語とは違うんです」と強弁することもできる。まぁだから一概に間違いではないとも言えるのだが………。 そうは言っても気になっていたことだったので、DVDでテロップを入れ直すときに全面的に改訂したわけだ。前に懲りたので、今回は全部自分で調べた。図書館で外国人名事典などと首っ引きで。 どうしても見つからなかった数人は「作った」………例えばオフレッサーはoppressor(オプレッサー)と言う人はいたが「オフレッサー」に該当する人が見つからなかったので「p」を「f」にした、とか。そういうレベルだが。逆にルッツのようにそう読めるスペルが何種類もある場合は主観で一番ふさわしそうなのを選んだ。 原作で表記されているものも盲従せずに「アニメ版はアニメ版」ということで、敢えて変えているものもある。(例えばスペルではないが「雷神の鎚」は原作では「トゥールハンマー」だが、一般に北欧神話では「雷神トール」と表記されるので「トールハンマー」にするとか) だから、今のDVDに入っているスペルは一応自信はある。(そうは言っても人間のやること、書き写し間違いとかのつまらないケアレスが無い限り、だが) で、それをちゃんと参照してくれていればいいのだが、「飾り」としてしか考えていないような今回のロマンアルバムの表記には、ホトホト困っているのだ。(と、話がそこに戻る) 見せられた刷り出しは小さいし不鮮明だし、ドイツ語独特のウムラウトとかエスツェットとか、ちゃんとなっているのかどうかまでは判別できない。こうなると「監修」の責任は持てないよ、本当に。 |
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